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回復そして「再発」

「う・・うん・・・」
どれくらい時経過したのかは不明だが目覚めの時は唐突にやって来た。あたりを見回すとお嬢様の自室であることが確認された。で、当人はいまPCに見入っているわけだが。
「憂?起きたの?」
「お、お嬢様。私」
「急に倒れたところを福山さんに助けられたんだよ。福山さんは、彼女の家の系列の病院の先生を手配してくれてね。医師の見立てでは過労だってさ。まあ、私もちょっと無理させすぎかなと思っていたからさ。一週間ほど安静にしてるといいよ。」
「福山さんには世話になったのですね。」
・・・おかしいな。素直に感謝の念が湧いてこないのはなぜだろう。倒れたときの記憶が曖昧で全く思い出せないのに関係しているのだろうか。
「そうだよ。彼女にも御礼を言っておいてね。」
「はい、必ず。」
といっても、全然感謝の念が湧いてこない。
「あと、ごめんなさい。」
「え?」
「だ、だから。この広いお屋敷と私の世話を一人でするのはやっぱり無理があったんだよ。うすうす気づいていたんだけどさ、私人間嫌いだから、あんまり人を置いておきたくなくて。結果的に憂に負担をかけることになってごめん。」
お嬢様はぺこりと頭を下げた。
「いえ、そんな。私は、全然平気ですし。」
事実、体調的には全然問題がないのだ。過労で倒れたと言われてもまるで実感がわかない。
「そう?でも倒れたのは事実だからね?」
「はい、以後体調管理には万全を期します。」
「それでね、憂。起きたばかりで悪いけど、」
「なにかあったのですね?」
「うん。例の学園裏サイトで気になる動きがあるの。」
お嬢様の顔は暗い。
「気になるとは?」
「まあ、これを見てよ。ああ起きなくていいよ。タブレット渡すから。」
お嬢様は7インチ型のタブレットを私に横してくれた。これなら寝ながらでもネットができる。便利な世の中になったものだ。ええと、内容は、

・・・
生徒会。いじめにGOサイン!

過日、一恋さんへのいじめの件で生徒会で処分が決定されたが、その処分は一ヶ月のベーシックインカム停止という極めて甘い処分であった。これを受けて、生徒たちの中には、暴行を含むあれだけひどいいじめでこの甘い処分ならば、目立たないようにいじめをすれば何もおとがめはないだろう、という邪な考えを抱く者が決して無視できない数に上ることが我々の調査で判明した。
 具体的には、机の上に花瓶を置く、無視、教科書の毀損、体操着を引き裂かれる、弁当箱をゴミ箱に捨てる、などのいじめ行為がすでに確認されている。ただ、今までのいじめとは違って今回は加害者がわかりづらくなっているのが特長だ。それもそのはず、いじめの加害者は、犯人が特定されないように慎重に行動していることに加え、いじめに加担せずとも、いじめを見て見ぬふりをする者がかなりの数に上ることが推測されるからだ。
 つまり、いじめの事実はあっても加害者がわからないようになってしまっている以上、いじめを止めることは今まで以上に難しくなった。今回のいじめは明らかに、生徒会の甘い処分が生徒たちを増長させたのが直接の誘引になっている。

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・・・

「なんて不埒な・・・」
私は絶句した。
「お嬢様、お嬢様はこのいじめ問題、どうしたいと思いますか?」
「解決するよ。生徒会があてにならないとわかった以上、解決する気のある生徒が立ち上がらなきゃ。」

お嬢様の性格から言えばそういう発言になりますよね。
「ですが、お嬢様。このいじめ、根が深いです。根底には貴族に対するやっかみもあるようですし。そうなると、ある意味、ほとんどの学生が加害者になっているといっても過言ではないでしょう?」
「う・・・確かに。今までは特定の生徒だけによるいじめだと思ってたけど、そうじゃないみたいだし。」
「まあ、あえて加害者を特定するとするならば、学園に流れるふわっとした空気みたいなものでしょうか。学園の価値観に合わない生徒は何をされても文句は言えないといったよどんだ空気。」
「そんなの、私一人じゃどうしようもない。でもどうにかしたい。」
「もう一度、千条様と話し合ってはいかがでしょう?」
「あいつ嫌い。」
「では、どうするおつもりですか?」
正直な話、今は千条様の力を借りなければ、このいじめ問題は解決に向かわないだろう。いや、借りたとしても難しいくらいだ。
「私一人でなんとかするよ」
と、おっしゃられてもお嬢様ができることはいじめ現場を目撃した際に直接干渉するぐらいだ。これではその場しのぎにしかならない。既に限定的な効果しかないのは立証済み。やらないよりはまし、という程度の効果しかない。
「わかってる。ああ、私の分身があと二人いればなあ。」
と、愚痴を言っても仕方がない。どうしてもお嬢様はいじめ現場を抑えて干渉すればよいという解決策から抜け出せないでいるようだ。もぐらたたきが有効なのはもぐらの数が少ない時だけ。今回のように、もぐらが多い場合、背後から叩かれるのはむしろこちら側になりかねない。叩かれたくないのなら、こちらも数を揃える必要がある。そして、お嬢様には、手っ取り早く数の力に頼れる条件が与えられているのだ。
「千条様のお力をお借りしましょう。彼女からもなにか連絡が来ているんじゃありませんか。」
「き・・・キテナイよ?」
「いや、来てますよね? 目が泳いで声が裏返ってますよ?」
「来てないったら来てないの!」
若干、キレ気味に叫ぶお嬢様。どうやら他人の助け、特に千条様のお力を借りることはお嬢様の虚栄心を痛く毀損するようだ。これ以上の追求はやめておくべきだろう。

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「ふう・・・」
とはいえ、千条様の援助なしでどうやって問題を解決するつもりだろう。見通しの暗さに思わずため息が出てしまう。
「と、とにかく、今日明日で戦略を練るから、あなたはせいぜい楽しみにしていることね!」
絶対に無理をしていると思うが、ご主人様がそこまで言うのなら仕方がない。
「分かりました。では、私も知恵を絞りましょう」
今日のお茶会はこれにてお開き。これからどうなるんでしょうね。

・・・



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Author:Catherinefx
ブラックあずにゃんさんのTwitterによる寄稿のライトノベルです。
絵:きゃさりん

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もともとは上記ブログで紹介させていただいていたのですが、最新記事から降順では読みづらいため、こちらに読みやすくまとめてみました。

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