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違うでしょう (BY 由納言美)

由納言美お嬢にまで、大怪我を負わせてっ!
姫宮様付きの侍女として、この責任をどう取るおつもりですかっ!!!!


「申し訳ございません!」
私の名前は、憂。卑しい身分なので姓はない。
就職先を間違えてしまったばかりに、今、人生最大の危機を迎えている。
 
やばいよ、これ。取り囲まれてしまってるよ!
遺書を書く時間ももらえないかもしれないわ・・・。

「私たち由納九連枝のご先祖様は、由納本家よりご領地を頂いた家柄。だから、私たちは、由納本家に奉公する義務があるんですよ!」
「はい、存じ上げております!」

こわああ・・・激怒してるよ・・・。みんな。

「だから、お嬢の身をお守りするのは、私たちのファーストプライオリティなんですっ!」
「ええ、はい」

「であるにもかかわらず!この大失態! お嬢の身に万一のことがあれば、私たちは全員自決しなきゃいけないんです!分かっているんですかっ、事の重大さが!」

「申し訳ありません・・・」
彼女達も、必死だよ・・・。
場合によっては、文字通り、本当に死をもって償わされる立場だから、これは当然の反応か。

「主の不始末は、取り巻きの責任ですよ!」
えええ・・・、それはちょっと厳しすぎませんかねえ。

「申し訳ございません・・・」

「申し訳ございません・・・しか言えないんですか?だいぶ時間があったはずだけど、言い訳の一つも考えてこなかったんですか?」
めんどくさいなあ、もう・・・。
下手な言い訳したら、それはそれで怒るんでしょう?どうせ。

Comic_09.jpg

「あ・・・いえ・・・あのですね、きゃさりんお嬢様は、母親に疎まれてから、広い洋館の中で一人ぼっちでずっと生活してたせいで、
ちょっと、あの、性格が変わってしまっているんですよ」

「は?性格が破綻していたら他国の姫君を大怪我させてもいいの?」
「つーか、それ、気がおかしくなったから、責任能力がないとかで切り抜けるつもりなの?」

ピリピリとした緊迫したムードが私の言い訳でいっそう加速化された。
というか、私は性格が変わってしまっている、といっただけで、破綻しているとか
発狂しているとまでは言ってないんですけどね。いわんとするところの方向性は
同じだけどあまりにもど直球過ぎる指摘といわざるを得ない。

ともかく、
バカ殿作戦で、我が主様の責任は、限定的であると印象付けようとしたけど、一瞬で目論見を看破されてしまった。
か・・・かくなるうえは!

「これは、その、主が不始末を起こしたほんのお詫びのしるしで」
私は、傍においておいたワゴンを差し出した。中には大量の板状のものがぎっしりと敷き詰められている。
「えと、お菓子です」

「はあああああああああああああああ!?板チョコぉお?」
「こんなもので、今回の大不祥事を精算するおつもりですか!?」
「どこまで私たちを馬鹿にしたら気が済むんですか!?」

物凄い逆効果だった! 
今さっきまでは、二三人ほど気の毒そうな目で私を見ていた人もいたけれど、
今や一人の例外もなく、みんな目を三角にして、夜叉のような顔をしている!
地獄の業火に包まれているような気分です。

「あ、あああ、あの、でもでもでも、おいしい・・・ですよ?私のお給金の半年分は使いましたから。
いやあ、お雇い侍女のお給金なんて、意外に安いんですよ。
今日の私のランチ、おにぎり一個でしたから、は、ははははは・・・」
あまりの恐怖に自分でも何を言ってるのか分からなくなってきている。
動揺のあまり視界がぐんにゃりしはじめたよ。

「よほど・・・死に急いでいると見えますね」
「これ以上何を言っても、誠意ある対応は望むべくもありませんね」

みんながいっせいに間合いを詰めてきたよ。
その中から一人、さらに前ににじり寄ってくる。
あ、この子、『妖刀指標丸で悪魔姉妹を討つ!』とか宣言していたヤバイ子だ。
悪い予感しかしない。嫌な冷や汗が背中を伝う。

「憂さん、あなたに選択肢を与えましょう」
ごくり、緊張で私は、唾を飲み込む。でも、彼女の声色は優しいから意外な温情判決もあるかもしれない。

「プリンセスキャサリンに、由納言美お嬢が負った傷を完治させなさい。もちろん、一切の傷跡が残ってはいけません。
それが無理なら、今ここで死んでください」

それは選択肢を与えたとはいえないのよ、お嬢ちゃんたち!

天使のような笑顔で、何死の宣告してるの、このお嬢ちゃんは!
趣味が悪いにもほどがあるよ!

シャンデリアのガラス片で切った切り傷なんて、元に戻るわけないじゃん!
どこの天才整形外科医ですか。うちの主様は、そっちの専門家じゃないし。

これは、事実上の死刑宣告。もちろん彼女達も分かって言ってるはずだ。
悪辣な死の強要だよ、これは。

よし!逃げよう!!
私は、ドアを開け、脱兎のごとくお部屋から飛び出した!!

「待てっ!この不埒者!!」
「妖刀指標丸の錆にしてくれるわ!」

こ、ころころころ・・・・
殺される!!

どうしよ、どうしよう、どうしよう、どの部屋に逃げるのが正解?

順当に考えれば、きゃさりんお嬢様のお部屋だが、断食で力が弱っている。
そうでなくても、主に危害が及ぶ可能性がある時点でアウトだ!

「破っ!」
気合一閃!後ろから放たれた真空派が私の足を絡めとりにくる!!
足が切られる!!

私は一か八か、真横に飛んだ!! 

バシャン!!! 盛大な音が耳朶に響く。
腕が生暖かい。血だ!!


バタン!! 着地成功!!
どうやら窓ガラスを割ってどこかの部屋に着地したらしい。

ふう、よかった。足は切られてない!!!
右腕は盛大に出血しているけど。

さあ、ぼやぼやしていられない!すぐに次の手を考えないと!

刹那!

「きゃっ・・・」
ソプラノ声の小さい悲鳴が響いた。この美しい音楽のような声は、

「衣川様!!」
銀色の髪を長く垂らしは姿が印象的な美少女が鏡台のまえで佇んでいた。

というか化粧中だった・・・。
やば・・・やばやばやば・・・。やんごとなき身分の方がお化粧をしている最中に
ガラス破って乱入、しかも血まみれとか、無礼討ちにされても文句は言えないよ。

ぼたぼたぼた・・・出血した腕から血が滴り落ちる。
私、完全にやばいひとだ。

「ど・・・どうかしたの?」
くりっとした大きな目で、不安そうに上目遣いで尋ねてくる。
目がちょっと潤んでるような気がする。
完全に不審者扱いだ。というか、衣川様、さりげなく口の中で詠唱を始めてる。
万が一に備えて、魔道を発動させるんですね、分かりますその気持ち。

Comic_11.jpg


「あ、あのですね!これは、由納九連枝の方々に襲われましてね・・・」

・・・



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プロフィール

Catherinefx

Author:Catherinefx
ブラックあずにゃんさんのTwitterによる寄稿のライトノベルです。
絵:きゃさりん

とある乙女の裁量決済(ロスカット)
http://catherine2010.blog119.fc2.com/

もともとは上記ブログで紹介させていただいていたのですが、最新記事から降順では読みづらいため、こちらに読みやすくまとめてみました。

最新記事も上記ブログで読むことができます。

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