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代打、私

学食にて・・・盗聴器に記録された音声より

A「ねえ、聞いた? また、隔離病棟の子達がはでなことやらかしたらしいよ」
B「隔離病棟・・・?あぁ、旧校舎の住人たちか」
C「わたしあんまり関心ないけど、キャサリン様が発狂して、昼夜を分かたずに奇行を繰り返しているとかなんとか?」

A「そうなんだけど、今回はこともあろうに由納言美さまに大怪我を負わせたらしいよ」
B「まじでっ!?  友好国の姫君に何してくれてんの、あの女!」
C「北との戦争を継続するためには、南との友好が大事。今、由納公国を刺激することがどれだけ危険なことかわかってないのかしら」

A「それだけじゃないわ。マジ切れした由納九連枝の方々が、きゃさりんさまの、ええと、名前忘れたけど、とにかく侍女に報復しようとしたら、衣川様と交戦状態になったそうよ」
B「はっ? ナニソレ、ドユコト?」
A「つまり、侍女が報復から逃れる途中、衣川さまに助けを求めたとか」
C「あぁ・・・衣川家は姫宮家の妹分。助けを求められたら、守らないわけにはいかないよね。嫌々でも何でも」
A「そう、今現在旧校舎は、不穏な空気になってるわ。結納九連枝と衣川さまが対立状態に陥ったからね」

B「つかさ、旧校舎の連中は、いじめ問題で一致団結してるんじゃなかったの?この前もきゃさりんさまが動画に出演して、『私たち、旧校舎の絆。打ち破れるものなら、打ち破ってみなさい!』とか、虚空を見ながら奇声を上げてたよ?」
A「実態は、それぞれ個別の利害を持った集団が癒着しただけの烏合の衆だからね。心身に過大なストレスを受けているきゃさりん様でさえ、無理してでも、団結をアピッておかなきゃいけないところまで追い詰められてるんだよ」
C「けんかをする相手を忘れて、身内同士で無様に潰しあうのは勝手だけどさ、由納公国との外交問題にだけは発展させてほしくないよね。南との貿易に支障が出たら、わたしたちの生活が苦しくなるんだから」

Comic_12.jpg

ABC「「「だよねー」」」

・・・
・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・

「この、クソッたわけがああああああああああああああああああああああ!!!!」
「申し訳ございません! 姉上!」

私の名は、姫宮きゃさりん。前世では、人々から金銀財宝を強奪し、強欲の代名詞として恐れられていたドラゴンを討伐し、見事、ドラゴンスレイヤーの称号まで獲得した伝説の姫騎士。
だが、現世では、まだ私の血に宿りし真の力は発現していない。

「私も母上も、結納公国の大使殿から正式なお叱りを受けたのだぞ! 分かっているのかっ!ことの重大さがっ!」
「申し訳ございません! 姉上!」

だが、私はまだ失望していない。いつか必ず、謎の主人公補正が機能・・・じゃなくて、わが魂に宿りし真の力を回復させ、必ずや邪悪な生き物をこの手で滅することができると信じている。

「結納公国は、わが国の食料・資源の供給地!だからこそ、私も母上も最高の礼を尽くして、外交活動に死力を尽くしてきたのだ!だがっ! 今回の件で、全て台無しだっ!このっ、姫宮家の疫病神がっ!!」
「申し訳ございません! 姉上!」

だが、何事にも準備は必要。例え勇者であっても、ラスボスを倒すまでに、無数の雑魚敵を葬り去り、経験地を蓄積し、やっとラスボスと伍する力を得ることができるのだ。大事をなす為には、日々の小事をきっちりとこなしていくことが肝要。

「資源を絶たれ、北との戦争が継続できなくなったらどうするんだっ!?」
今こそ、勇気を出して最初の一歩を踏み出すとき。まずは目の前の雑魚敵に神罰を加えん!

ピッ!

私はスマホの電源を切った!ざまあ!これで悪魔の声を聞かなくてすむもんねえ!
悪は滅びた! にゃはははははははははっ!!!!

Comic_13.jpg

「憂!」
「はい!」

一仕事終えたら、またもう一仕事。
プリンセスともなればいろいろ忙しいのよ。

「私はしばらく寝るけれど、誰も入ってこないようにしなさい!無論、あなたも外出禁止よ!
あと、各種通信手段の使用も禁止! びっくりするような報告が来たら、ゆっくり休めないからね」

この侍女は姉と通じている。いつ、姉上にあることないこと報告するとも限らないから、
休憩をとるときも、こうやって自由に動けないように命令する必要がある。

今だってそう。
こんなに早く、姉上からお叱りの連絡が来たのも、この女のせいに違いない。

やれやれ、情けない。私も忠誠の高い侍女がほしい。

ともかくこれでこの部屋は、穢れ多い俗界と隔絶された神域になった。
ゆっくりと休もう。

あーねむいねむい・・・。べっどふかふかー。いいにおいー。どこか、南国に咲く花のにおいがする。

「コンコンコン、入ってますかー?」

ん、誰よ!? つか、今、誰か、私の頭コンコンとノックしてた・・・。えっ、えっ?私は、驚愕して目を開いた。

「なっ、貴様!結納言美っ!!! どこから沸いて出てきたのよっ!
つか、そのアクション、あたしの頭に何も入っていないとでも言いたいわけ!?」

「ご名答。よく理解できたわね。驚いたわー、あんたの頭の中にも、ちゃあんと脳みそはいってたのね」
「く・・・ぐぬぬぬ・・・・おのれええ」
絶対に許せないっ!
「あんたさあ!人との距離感取れなさ過ぎっ!就寝中に何してくれてんのっ」

「はあ? ここ、私の部屋なんだけど?何勝手に人のベッドにもぐりこんでるの?」
「あんたが嫌がる私を勝手に連れてきたんじゃないっ!」
「私が保護しなかったら、結納九連枝のやつらが、暴発しかねないでしょうがっ!?」
「そんなの知らないよっ!」
「もともとあんたが私を怪我させたのが原因でしょう!?」
「それにしたって、あんたが頼まれもしないのに慰問に来たのが悪いんじゃないっつ!?」
「なっ!? 慰問に来た客人には、大怪我で報いるのが姫宮家のしきたりなわけ!? あんたの母上が聞いたら、泣いて喜ぶでしょうネエ」

ぜえぜえ、はあはあ。まずい口げんかをする体力も残ってない。私、断食中だからね。

「あんたねえ・・・私は病人みたいなものなのよ。頼むから刺激しないで」
「そうしたいのは山々だけどさ。うちも大貴族で、面子があるからさ。あんたに怪我させられて、泣き寝入りしてたら、本国政府の要人たちに説教されるのよ!」

「うむむ・・・・」
「そんな、苦虫を噛み潰すような顔して、うなららいで!由納本国と両宮帝国は、今まで良好な関係を維持してきたのよ。それは、無為に達成されたわけではなく、両国の要人たちがたゆまぬ交渉を継続してきた結果なの。プリンセスの私たちが、台無しにしてはいけないの」
「それは・・・」
わかる。下のものが一生懸命努力して出した結果を、上のものの不祥事で壊してしまったら、下のものはやる気をなくしてしまう。
「じゃ、どうすりゃいいのさ!」
「公衆の面前で、あなたが私に土下座して許しを請えばいいのよ。簡単なお仕事でしょう?」
「ふざけるなー」

「冗談だよ。そんなに顔真っ赤にして怒る必要ないでしょう」
「あんたの冗談は分かりにくいのよ。てか、あんた、さっきから喧嘩売ってるでしょう?」
「別に、そんなつもりない。ただねえ、私もプリンセスという立場で、いろいろな問題を抱えているから、あまりくだらない問題に時間をかけたくないのよ」
「それで?」
「土下座は冗談にしても、あんたのほうから、何らかの誠意を見せてくれないと、こちらも動きがとれないのよ!」
「ちょっと、待ちなさいよ! うちだって、あの基地外たちに(由納九連枝)憂が大怪我させられてるんですけどぉ!」
「憂は、卑しい身分でしょうが。プリンセスと一緒にするなど、無礼千万!」
「そうだけど! 姫宮家の所有物であることには変わりない!厳密に言えば、姫宮家宗主である、姫宮優子のものなのよ!」
「くっ・・・」
「あーあ、母上激怒するだろうな。普段おやさしい分だけ、怒ると周りの人でも諌めきれるかどうか」
「あわわ・・・」
怒りで染まった赤い顔から、真っ青な顔になる猿。信号機なのかな?
「場合によっては、北面の魔術師に動員がかけられるかも、そうなったら明日には、あなたのお屋敷は火の海だ。怖い怖い」

北面の魔術師とは、皇帝陛下お住まいの皇居北方を守護する魔術師たちである。
いわば陛下を守護す近衛兵のなかでも、精鋭中の精鋭。
姫宮の宗主は、代々、この名誉ある北面の魔術師の指揮官を兼任している。

というのは半分建前で、実態は、皇居の北方に精鋭部隊を配置することで、皇帝権力に縛りをかけているのだ。
だから、というわけでもないが、姫宮家がふさわしくないと断定した有力貴族、大商人たちは、『陛下に楯突く不逞のやから』
というレッテルを貼られ、北面の魔術師たちにより葬り去られるのだ


悔しそうに唇を噛む馬鹿猿。ふふっ、憂を怪我させたのは、痛恨の勇み足だったわねえ。

Comic_14.jpg

「で、今回の件の落としどころなんだけどぉ」
私は下卑た笑みを浮かべ・・・じゃなかった歌うように言った。由納言美の耳元でささやく。

「あんたの国でとれるお米、毎年、だいぶ在庫がだぶついるんだって? よかったら、私が少し買い上げてもいいんだけお」
「な・・・に・・・?」

由納公国にとって、米は換金作物。金に換えて初めて意味が出る。米の販路拡大は、言ってみれば由納公国の金庫を潤おすことになる、大手柄なのだ。

「お国のために尽力してこそのプリンセスでしょお?」
「そ・・・それは・・・」
この猿がもし、有能なプリンセスだったら、こんな遠くの国の首都にまで飛ばされるはずがない。こいつは、手柄に飢えている、間違いないね。

「だからさ、今回の件はこれでチャラにしようよ。私からのお土産を説明すれば、お国の要人たちも何も言えないって」

大権力者である母上の名前を持ち出し、相手に恐怖心を植え付けて、思考停止に追いやったあと、
即座に助け舟を出してあげる。これぞまさに恐喝・・・じゃなかった交渉のセオリー。

簡単に言うと、

相手を「あっ」と驚かせて、自分のペースに持ち込む。

これぞ先祖代々伝わりし、姫宮家のお家芸!
姫宮スピリッツ、今宵も健在!!!

・・・



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プロフィール

Catherinefx

Author:Catherinefx
ブラックあずにゃんさんのTwitterによる寄稿のライトノベルです。
絵:きゃさりん

とある乙女の裁量決済(ロスカット)
http://catherine2010.blog119.fc2.com/

もともとは上記ブログで紹介させていただいていたのですが、最新記事から降順では読みづらいため、こちらに読みやすくまとめてみました。

最新記事も上記ブログで読むことができます。

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